2015/5/2(Sat)
経営は屋根の上の猫だとある人から聞いたことがある。
その人が会社を興したばかりの頃、アパートの二階から隣の屋根で寝そべる猫が見えた。猫は安全な屋根の真ん中ではなく、わざわざ滑り落ちそうな端に陣取って、そこから下に尾を垂らしていた。
なるほど経営とはこういうものか、とそのとき彼は悟った。安全な場所ではなく、ギリギリの場所にいるからこそ危ない所がすぐにわかるのだと。
なるほど彼は成功し、巨大な企業の経営者になった。しかし大きな猫の重みに、屋根の端がミシミシと崩れ始めている。
小谷隆