2015/4/20(Mon)
かつて魂も身体もギラギラしていた頃、指一本触れたことのない女からとつぜん寝たいと誘われた。勝ち名乗りを貰いに行くだけの土俵。しかも相手はかなりの上玉だ。しかし不覚にも僕はその一番に不戦敗したのだった。
むべなるかな。プロセスを欠いた情事など情事ですらない。男は本来、落とすまでの道程に酔う。背中のジッパーに手をかけたら、物語の99%はもう終わっている。
戦前から白旗を上げられたその試合は闘いですらなかった。戦意を失った僕は前座のバーで悪酔いし、千鳥足で敗走した。「もったいないおばけ」たちの罵声を浴びつつ。
小谷隆