2015/3/18(Wed)
22歳のとき、義兄の紹介で大手レコード会社の人にデモテープを聴いてもらったことがある。
「売れ線だよね」と彼は感想を述べた。「今どきの」
僕はそれをてっきり褒め言葉だと勘違いして舞い上がった。自分がやってきたことが正しかったのだと信じて、その後も時代の求めそうな音楽ばかりを追求していった。
思えばあれがそもそもの間違いへの分かれ道だったと思う。「売れ線」ばかりを追いかけた僕は、けっきょく自分自身の音楽を追求できなかったのだ。
あれから30年近く、つまらない曲ばかり書いてきたと思う。
小谷隆