2015/7/23(Thu)
虹には見えなかった。向こう岸の半島を背に湾から生えた光の柱は赤みを帯びた部分だけが際立っていて、目を凝らしてみてようやくそれが七色に広がっていることに気づいた。
半島の半分は雨に煙っている。その切れ目あたりにあった無数のプリズムに夕陽が当たって、この奇異な虹の柱が立ったのだろう。
世にも美しい光景ではあったものの、調べてみたら縦虹は地震の予兆だとか物騒なことばかり書かれている。まさかと笑い飛ばしていたら、その夜遅く半島の反対側を震源とする地震があった。
まことに自然とは不可思議なものだ。
小谷隆