2015/6/23(Tue)
本当に大事なものは失ってみないとわからない。格言のようにそう言われているけれど、必ずしもそうではないと僕は思っている。
愛するものについては、いつもそれを失う悲しみを僕は脇に置いている。だから時おり失う夢を見る。起き抜けの顔が涙に濡れていることもある。そんな刹那の悲しみの後に訪れる、愛するものがまだそこにある歓びを糧にして、僕は愛を新たなものにする。
愛おしさはそうやって、錆びないように磨き続ける。否、そうしようと思わなくても、失うことへの想像力は決して僕の愛を怠けさせることがないのだ。
小谷隆