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<< 20度という境目 >>


2015/5/27(Wed)

 日中は夏日でも、朝方は20度を下回るこの時期は汗かきな身にも心地よい。東京はちょうど避暑地の真夏の頃の陽気だ。
 早足で歩けばうっすらと汗ばむ背中を微かな風が冷ましてくれる。駅のホームに滑り込んでくる電車が一陣の風を煽れば、鳥肌が立つほどの冷涼感だ。
 電車の空調もこの頃には本気の回転を始める。満員の車両に押し込まれると、ちょうどドアのあたりが吹き出し口だ。まっすぐ降りてくる涼気が湿った襟足を撫で下ろすと、思わずオヤジ臭いため息を漏らしている。
 窓から覗く青空に、梅雨の予兆はまだ微塵もない。


小谷隆


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